ワーホリに行く人は、これから海外転出届を提出しようとしているのではないでしょうか。
海外転出届は提出しないといけないものだと思ってしまいますよね。
実は、海外転出届を出すことによってNISA口座が使用できなくなったりとデメリットがあるため、海外転出届は出さない方が良いときがあります。
この記事では、海外転出届に関する以下の内容について紹介しています。
- ワーホリをする人は海外転出届を出さないといけないのか?
- ワーホリ時に海外転出届を出さないメリット・デメリット
- ワーホリ時に海外転出届を出さない場合と出す場合の各種手続きについて
- ワーホリ時に海外転出届を出さないかどうかの判断基準
この記事を読めば、海外転出届を提出した場合と提出しない場合の損得を理解できるので、あなたが海外転出届を出さない方が良いかが判断できるようになります。ぜひ最後までご覧ください。
ワーホリをする人は海外転出届を出さないといけないのか?
Q:ワーホリをする人は海外転出届を出さないといけないのか?
ワーホリをする人は海外転出届を出さないといけないという決まりはありません。
海外転出届は、原則として日本を1年以上離れる場合に、出国14日以内に役所に提出する書類であり、1年以上離れるかどうかは滞在予定で判断します。
また、海外生活は予定通りにいかないことも多いので、海外転出届の提出時の予定滞在期間と実際の滞在期間に相違があっても問題ありません。
これは、実際の滞在期間が1年未満であっても海外転出届を提出しても問題なく、逆に滞在期間が1年以上であったとしても海外転出届を提出しなくても問題ないということです。
※以下の住民基本台帳法に記載があるように、虚偽の届出をした場合や正当な理由なく怠ると5万円以下の罰金があるので注意が必要です。
第52条 第22条から第24条まで、第25条又は第30条の46から第30条の48までの規定による届出に関し虚偽の届出(第28条から第30条までの規定による付記を含む。)をした者は、他の法令の規定により刑を科すべき場合を除き、5万円以下の過料に処する。
2 正当な理由がなくて第22条から第24条まで、第25条又は第30条の46から第30条の48までの規定による届出をしない者は、5万円以下の過料に処する。
住民基本台帳法:https://hourei.net/law/342AC0000000081
結論としては、ワーホリに行く方は滞在期間の予定が不明確であるので、海外転出届を提出するかどうかを自身の有利不利で判断すれば良い(届出に関して虚偽の届出や正当な理由なく届出しなかった場合には罰則があるので注意)ということです。
有利判定難しそうでできませんよ・・・
海外転出届を提出することによる有利判定は、この記事の「ワーホリ時に海外転出届を出さないメリット」と「ワーホリ時に海外転出届を出さないデメリット」を確認すれば簡単にできます。
ワーホリ時に海外転出届を出さないメリット
ワーホリ時に海外転出届を出さない場合のメリットとしては、以下の7つがあります。
- NISA口座を引続き利用できる
- 条件を満たせば失業保険を受給できる
- 健康保険に加入できる
- 年金受給額が減らない
- 銀行口座やクレジットカードの新規作成ができる
- 銀行口座が凍結されない
- マイナンバーカードの返納が不要
NISA口座を引続き利用できる
海外転出届を出さない場合には、株式投資の運用益が非課税となるNISA口座を引続き利用できます。
株式投資をしている方にとってNISA口座が利用できなくなるのは、大きなデメリットとなることでしょう。
2024年からはNISAの制度が改正により、税制優遇が強化されているため、株式投資をしている方にとって、海外転出届を出さない場合の大きなメリットと言えます。
条件を満たせば失業保険を受給できる
海外転出届を出さない場合には、失業保険の受給資格を喪失することがありません。
失業保険給付の条件を満たして失業保険を受給している方や、これから失業保険の受給予定の方は、海外転出届を出さないことをおすすめします。
失業保険の受給金額の日額は、原則として離職日直前6ヶ月に毎月決まって支払われた賃金の合計(賞与を除く)を180で割って算出した金額の50~80%です。
受給金額の日額や受給期間は、被保険者であった期間や退職理由によって異なりますが、しばらくの間仕事がなくても生活できる金額を受給できます。
健康保険に加入できる
海外転出届を出さない場合には、健康保険に加入資格を喪失することがありません。
そのため、ワーホリ中に帰国することがあり、病院に通う必要があっても、自己負担額が3割となり、全額自己負担となることを避けられます。
年金受給額が減らない
海外転出届を出さない場合には、国民年金保険料が免除されず、納税の義務が発生するため、国民年金保険料が免除されなかった分、受給する年金が減額されません。
また、海外転出届を提出しても、国民年金保険料は「納付免除」と「任意加入」のいずれかを選択できるため、海外転出届を出すけれど、将来受給する年金が減ってしまうのが嫌な方は「任意加入」を選択し、引き続き国民年金保険料を支払うことも可能です。
銀行口座やクレジットカードの新規作成ができる
海外転出届を出さない場合には、銀行口座やクレジットカードの新規作成ができます。
もし、海外転出届を提出してしまうと、日本で銀行口座やクレジットカードを新規作成できなくなってしまいます。
銀行口座が凍結されない
海外転出届を出さない場合には、銀行口座が凍結される可能性はありません。
もし、銀行に海外転出届を提出してしまうと、日本の銀行口座を凍結される可能性があります。
必ずしも凍結されるという訳ではないようですが、凍結されると困るという方は海外転出届を提出しないのが無難でしょう。
マイナンバーカードの返納が不要
海外転出届を出さない場合には、マイナンバーカードの返納が不要です。
海外転出届を提出するとマイナンバーカードを返納する必要があるため、日本のさまざまな手続きで不便を被る可能性があります。
証券口座の開設、奨学金の延納手続き、確定申告などの手続きで手間がかかるのを避けたい方は、マイナンバーカードの返納をしない選択をするのがおすすめです。
ワーホリ時に海外転出届を出さないデメリット
ワーホリ時に海外転出届を出さない場合のデメリットとしては、以下の4つがあります。
- 住民税が免除されない
- 国民健康保険料が免除されない
- 国民年金保険料が免除されない
住民税が免除されない
海外転出届を出さない場合には、住民税が免除されません。
「海外転出届の提出」=「住民票を抜く」ということですね!
住民税の免除の恩恵が大きい方(給料が高く、年末ギリギリまで働き、年末までに出国する方)などは、住民税が免除されなかった場合のデメリットがかなり大きいです。
例えば、年間給料が600万円の方であれば、約30万円の住民税の免除が受けられないことになります。
免除される住民税の詳しい内容については、以下の記事で紹介しています。住民税についてあまり理解していない方は必ず読んでおきましょう。
国民健康保険料が免除されない
海外転出届を出さない場合には、国民健康保険料が免除されません。
免除される国民健康保険料の金額の計算は複雑であるため、以下のサイト(外部サイト:税金・社会保障教育)を活用して計算するのがおすすめです。
国民年金保険料が免除されない
海外転出届を出さない場合には、国民年金保険料が免除されません。
令和5年度の国民年金保険料の年額は198,000円(月額16,520円)であるため、免除がなかった場合に、大きな負担になります。
ワーホリ時に海外転出届を出さない場合の手続き
ワーホリ時に海外転出届を出さない場合の手続きは特にありません。
海外転出届を提出しない場合のメリットとデメリットを確認して、メリットの方が大きいと感じた方は、手続きをしないでワーホリに行きましょう。
ただし、ワーホリ中に住民税・国民健康保険料・国民年金保険料の支払い義務が発生するため、親や親戚などに頼むなどして、支払い漏れがないようにしておく必要があります。
海外転出届関係で手続きが必要な方は、ワーホリ時に海外転出届を出す方のみです。次は、ワーホリ時に海外転出届を出す場合の手続きを紹介していきます。
ワーホリ時に海外転出届を出す場合の手続き
ワーホリ時に海外転出届を出す場合の手続き流れは、以下の通りです。
- 海外転出届の提出(住民票の除票)
- 国民年金保険料の納付方法の選択
- マイナンバーカードの提出
- 納税管理人の選任等
海外転出届の提出(住民票の除票)
海外転出届は、市区町村役場に出国14日前から出国前日までに提出する必要があります。
海外転出届提出時に必要なものは「本人確認書類」と「印鑑」のみです。市町村によっては、必要なものが多少変わることがあるため、電話等で事前に確認しておくと安心です。
また、海外転出届の提出(住民票の除票)を行うことによって、国民健康保険は自動的に脱退することになるため、必要な手続きはありません。
国民年金保険料の納付方法の選択
海外転出届を提出した場合の国民健康保険料の納付には「納付免除」と「任意加入」があるため、選択する必要があります。
「納付免除」は国民年金保険料が免除されますが、将来受給する年金が少なくなってしまうデメリットがあります。
年金制度に不満がある方や、年金制度を信頼していない方は迷わず「納付免除」を選択しましょう。将来受給する年金が減ってしまうのが嫌な方は「任意加入」を選択し、引き続き国民年金保険料を支払ってください。
マイナンバーカードの提出
海外転出届を提出した場合には、マイナンバーカードが失効させられます。
失効手続きを行ったマイナンバーカードは帰国後に再利用されるため、自身で保管しておくように言われます。
納税管理人の選任等
納税管理人の選任とは、申告義務や納税義務がある納税者の代わりに税務手続きを行う代理人を指定しておくという制度です。
家族を納税代理人に選任するのが一般的ですが、税理士に委任することも可能です。
ご自身の税務状況に応じて判断するのが良いでしょう。
ワーホリ時に海外転出届を出さないかどうかの判断基準
ワーホリ時に海外転出届を出さないかどうかの判断基準としては、以下のように免除される住民税・国民健康保険料・国民年金保険料の合計を概算で計算し、その合計が海外転出届を出さないメリットに見合うかどうかを検討するほかありません。
住民税
海外転出届を提出することによって免除される住民税の目安は以下の通りです。
以下の目安金額は「年末までに働いている」かつ「年末までにワーホリに行く」場合の最大の金額であるため、年の途中で退職する場合は月数で按分しましょう。
【年収と住民税の早見表】
【年収】 | 200万円 | 300万円 | 400万円 | 500万円 | 600万円 |
---|---|---|---|---|---|
住民税 | 60,000円 | 120,000円 | 180,000円 | 240,000円 | 310,000円 |
※上記の住民税は、サラリーマンの方で配偶者や子などの扶養親族がいないものと仮定して算出した金額ですのでご注意ください
国民健康保険料
国民健康保険料の金額は、収入や年齢によって変動し、各自治体が管理しているため、正確な金額を算出することはできません。
免除される国民健康保険料の金額の計算は複雑であるため、以下のサイト(外部サイト:税金・社会保障教育)を活用して計算するのがおすすめです。
また、国民健康保険料は扶養の概念があるため、親の扶養に入る場合には、国民健康保険料の負担がないため、海外転出届を提出するかどうかの判断基準から除外して考えられます。
国民年金保険料
令和5年度の国民年金保険料の年額は198,000円(月額16,520円)です。
【絶対出さないで!】NISAと◯◯がワーホリの海外転出届で終了? まとめ
海外転出届を提出することによって、NISAが利用できなくなったり、失業保険の受給を止められたり、銀行口座を凍結させられるなどのデメリットがたくさんあります。
ワーホリ時に海外転出届を出さないかどうかは、免除される住民税・国民健康保険料・国民年金保険料の合計を概算で計算し、その合計が海外転出届を出さないメリットに見合うかどうかを検討するのが良いでしょう。
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